「春眠暁を覚えず」の春とは3月下旬の頃らしいが、私の場合、5月の中旬を迎えた今も睡魔に克てないでいる。早い話、一年中暁を覚えずといった感じがしないでもない。それにしても朝起きるのは辛い。「もう起きなきゃ」と言う自分と、「もう少し、もう少し」と言う自分が布団の中で戦っている。
こんなちょっとした事でも「己に勝つ」というのは大変に難しいことだ。高いところから低いところへと流れる水に身を任せることは誰にでもできるが、反対に川の流れに逆らい、低いところから高いところへと船を進めることは大変な苦しみを伴う。誰にでもできることではない。疲れたからといって、漕ぐのを止めれば船はすぐにも下流へと流されてしまう。毎日毎日、一瞬一瞬、常に一心に漕ぎ続けなければならないのだが、この怠け心に打ち勝つことが実に難しい。
漕ぎ続けようとする自分が、もう一人の自分に打ち勝つように成りたいと思う。現実には、反対のことばかりをしてしまうが、思いだけはいつも一緒だ。
中国は明代に王陽明という偉い儒教の先生がおられた。文武にたけた先生は「山中の賊は敗るに易く、心中の賊は破るに難し」と言われた。山賊を打ち倒すことはそんなに難しいことではないが、自分の中に住む心の賊を打ち負かすことは難しいという意味だ。どんなにすばらしい人でも、常にこの心の中にいる「怠け心」という賊と戦わなければならないということなのだろう。
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