稔ほど首を垂れる稲穂かな

学生の頃に習った中国の歴史は、確か殷(いん)という王朝から始まったように記憶している。殷・周・秦・漢(いん、しゅう、しん、かん)…と何度も声に出して暗記していたように思う。

殷を開いた湯王(とうおう)は顔を洗う際の洗面の器に刻んだ「日日是新」(日々これ新たなり)という言葉を毎朝噛み締めていたという。

苟(まこと)に日に新たに、日日に新たに、又日に新たなり…一国の王をして、毎日を常に新鮮 な気持ちで政治に向き合っておられたのであろう。どんなに時が流れても、決して慢心することなく、初心を忘れまいとした湯王の自戒の言葉でもある。きっと自分に厳 しく徳を以って民を治められた素晴らしい帝王であったに違いない。

5月も下旬となり、今年の新入社員もそろそろ会社に慣れて来たろうか。上司や先輩に対する尊敬の念、仕事に対する真摯な姿勢、適度な緊張感は、長く社会の垢に染まって来た人間にとっては、初心そのものであり、これこそ社会人としての基本である。

何故、人は環境に慣れ、人に馴れて初心を忘れ基本を見失うのだろうか。いつの間にか新人の白色は他の色に染まりはじめ、上司先輩の言葉は耳に入らず、かえって疎んじるようにさえなり、仕事も楽に流れてサボり癖がつき、緊張感は失われて惰性的になって行く。
誰もがそうであり、自分も例外ではないことを知っておられたからこそ、湯王は「日々これ新たなり」と自分の心を戒められたのだろう。

基本の大切さを知り、自分を誇って高くならず、謙虚な気持ちで周りの声に耳を傾ける姿勢は、周りの人の心を和ませ、周りの人の心を摑む。会社にとっては欠く事の出来ない人材へと成長するはずだ。

「稔ほど首を垂れる稲穂かな」とある。学べば学ぶほどに、経験が豊かになればなるほどに、自分を低く低く出来る人…会社も社会もそうした人を求めている。

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稔ほど首を垂れる稲穂かな への2件のフィードバック

  1. Cookie のコメント:

    昔の王様は心から国のこと、民のことを考え毎日をすごしていたんですね。
    いつも言われる初心。。私も忘れずがんばります!!!
    とっても素敵なArticleです。

  2. shigeto のコメント:

    簡単なようでとても難しいこと、それが基本に戻ることだと私の先生はいつも教えてくださいます。初心…私自身、忘れないようにしたいと思います。

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